笑える話2026-07-05

「実家に帰ったら、自分の部屋が『謎の宗教施設』になっていた」:久しぶりに帰省した実家の自室が、母親の趣味で過剰なパワーストーンと謎の置物に埋め尽くされ、完全に儀式会場と化していた衝撃の光景。

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実家に帰ったら、自室が「謎の教団の総本山」になっていた話

「ただいまー」

半年ぶりの帰省。私は実家の玄関のドアを開け、実家特有の「煮物と湿気と少しの犬の匂い」に包まれるのを覚悟していた。しかし、鼻をついたのは、強烈な線香の香りと、鼻腔をくすぐる何か甘ったるい樹脂の匂いだった。

「あら、おかえり」

母はいつも通りエプロン姿で出迎えてくれたが、首からぶら下げているペンダントが、かつて私が知っていた数珠のサイズを超越し、もはや「首にかける鈍器」と化していた。

「母さん、その首の……鈍器はなに?」 「これ? 最近のマイブーム。波動を整えるのよ」

不穏な空気を感じ取りつつ、私は自分の部屋へと向かった。扉を開けた瞬間、私は言葉を失った。

そこは、かつて私が漫画を読み漁り、深夜にカップ麺を啜っていた「私の聖域」ではなかった。

――そこには、異世界の祭壇が鎮座していた。

部屋の四隅には、私の学習机を囲むように、ソフトボール大の紫水晶(アメジスト)が鎮座している。ベッドの上には、「宇宙の意志」と書かれた掛け軸が飾られ、床には何かの図形のような塩のラインが引かれていた。極めつけは、私の愛用していたPCデスク。そこは今や、謎の小石が整列する「儀式用祭壇」へと改造されていたのだ。

「あのさ、母さん……これ、何?」

私が震える声で指さすと、母は目を輝かせて近づいてきた。

「あんたの部屋、今までエネルギーの澱み(よどみ)が酷かったでしょ? だから、パワーストーンの配置を最適化して、この部屋を『高次元と繋がるゲート』にしたのよ」

高次元と繋がるゲート。私の部屋が。 よりによって、私の恥ずかしい黒歴史が詰まったクローゼットの扉の前に、謎の水晶玉が置かれている。

「ねえ、聞いてる? 今夜の2時は惑星直列の影響でエネルギーが最大になるから、この祭壇の上で瞑想すると、宝くじが当たる確率が120%上がるのよ!」

母は興奮気味に、私のデスクチェアに鎮座していた謎の置物を撫でた。それはどう見ても、近所のホームセンターで買ったガーデニング用のカエルを、金粉で塗りつぶしただけのものだった。

私は力なくベッドに座ろうとしたが、シーツの下に異物感を感じてめくった。そこには、大量のヒマラヤ岩塩が敷き詰められていた。

「母さん、これじゃ寝れないよ……」 「寝る? もったいない! その岩塩はね、寝ている間に邪気を吸い取ってくれるの。ほら、枕の下にも水晶を敷いたから、今日は夢の中で宇宙の神託が聞けるはずよ」

結局、その夜、私はリビングのソファで丸まって寝る羽目になった。深夜2時、自室から微かに聞こえてくる「母の怪しげな詠唱(たぶんYouTubeの再生音)」を聞きながら、私は確信した。

実家は、もう私が帰る場所ではない。そこは今、母が運営する「全宇宙開運株式会社・我が家支部」になってしまったのだ。

翌朝、食卓に並んだのは、なぜか形が整えられた「波動米」と、苦味の強い「浄化茶」。 「これ食べると、あんたのオーラがピンク色になるわよ」という母の言葉をBGMに、私は静かにスマホを取り出した。

『引越し 物件探し 格安』

来週には、この「儀式会場」から完全に撤退しようと心に誓った。母の笑顔が、少しだけ神々しく、そして少しだけ恐ろしかった。

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